2014年3月30日日曜日

ネットワークオーディオを導入してみたいのだが

 半年ほど前から、音楽を聴く環境を改善したいと考えている。

 私の普段の生活を振り返ってみると、音楽を聴くのはiPhoneを使って電車の中で、というのが最も多い。
 次に多いのが居間のパソコンでiPhone用に変換してある音楽ファイルをiTunesで再生して聴く場合だ。大抵女房が同じ部屋にいるから、音量を下げて聴くか、ヘッドホンで聴く。女房がテレビをみていることが多いから、パソコンをしながらBGM程度の音楽鑑賞。
 更に iPhone からカーオーディオにブルートゥースで飛ばして、自動車の中で運転しながら音楽を聴くことも多い。

 こんな生活を続けていると、どうも音楽鑑賞という意味においてストレスが溜まるようになった。

 何故か。

 静かな環境で、落ち着いて音楽を聴く機会があまりにも少ないからである。

 そこで、これまでほとんど使わずにおいてあったオーディオ・セットで音楽を聴くようにしたら、安物の機器なのに、なかなか素晴らしい音でなってくれる。しかし、iTunesから音楽を再生するのになれた身には、CDを探していちいち入れ替えるという作業がとてつもなく面倒な行為に思えてきた。

 少し調べてみると、最近ネットワークオーディオというのが流行のようである。これだと、NASに置いた音楽データを簡単に検索して再生できるそうだ。しかも音質はCDと同等。ハイレゾ音源を購入すれば、CDよりも音質のよいデータも扱えるということだ。

 しか~し。

 我が家のNASはネットワークオーディオに対応していないのである。(我が家のネットワーク環境についてはこちらを参照。)

 ネットワークオーディオに必要な「DLNA」という規格があるのだが、私の持っているNASは機能は最低でもよいから、ともかく1円でも安いものを、という観点で選んだため、調べてみるとこの「DLNA」非対応の製品だったのである。もともと、NASを導入したのは、購入予定だったノートパソコンとデスクトップパソコンのデータを共有したいためだったのだ。(我が家のNASは当初の目的のために限定すれば全く問題なく機能している。)いろいろ試しても Nexus 7からNASの中がのぞけないのは、NASがDLNAサーバーとして機能していないからなのだろう。

 というわけで、我が家でネットワークオーディオ環境を構築しようとすると、結構な出費を覚悟しなければならない。

 個人的メモも兼ねて費用を見積もってみよう。

(A案)まずは最低価格構成の場合

 1.ネットワークオーディオプレイヤー Denon DNP-720 SE 24,555円
 2.NAS(DLNA対応) I-O Data HDL-A2.0/E 16,980円

 しめて、41,535円。

 価格は2014年3月30日アマゾンの価格による。消費税8%増税直前のお値段である。NASは2テラバイト。このNASは既に構築されている家庭内LANに接続し、ネットワークオーディと家庭内 LAN との接続は無線 LAN(Wi-Fi)によるつもりだ。Denon DNP-720 SEは無線LAN(Wi-Fi)機能を搭載しているのである。
 Wi-Fiの速度がネックになって音楽が途切れたりするのではないかという不安があるが、これが最も簡単にネットワークオーディオ環境が構築できる方法。NASをケチっていなければ、2万5千円でネットワークオーディオ環境が構築できたのに、安物買いの銭失いとはこのことか。

 パソコンをNASとして使えば、2万5千円の投資でネットワークオーディオ環境が構築可能だ。これなら試しに導入して見ても良いかも知れない。手軽に音楽が聴ける環境を構築したいのに、居間のパソコンを起動しなければ音楽が聴けない、というのも方向性が間違っているような気もするが。
 
 
(B案)せっかくだからこのくらいにしてみたい構成

 1.ネットワークオーディオプレイヤー Pineer N-50 41,960円
 2.NAS(DLNA対応) I-O Data HDL-A2.0/E 16,980円
 3.無線LANルーター Buffalo WZR-300HP 5,780円
 3.イーサネットコンバーターセット NEC Aterm WR9500N 15,373円(2014.5.17訂正)

 しめて、74,313円。

 この場合、今のネットワークとは個別にネットワークオーディオ専用のネットワークを構築する。NASとネットワークオーディオプレイヤーとの間は有線LANで接続するので、LANの速度は全く問題にならないだろう。
 新しく購入する NAS に音楽データをコピーするために、今のデスクトップパソコンに無線LAN子機を追加してもよいが、今はノートパソコン(ThinkPad Edge E420)を二つのネットワークに同時に接続してコピーできるのではないかと思っている。ノートパソコンと音楽用ネットワークとの間は有線LANでつなぎ、ノートパソコンと既存の家庭内 LAN との間は無線で接続すれば、新旧両方の NAS に同時に接続してデータをコピーすることができるのではないか、と思っているのだ。(試してみないとうまく行くかどうかは分らない。)
 この使い方だと、ルーターに無線LAN機能は不要なのだが、あまり価格は変らないので、多機能な方を選ぶことにした。

 今日気付いたのだが、イーサネットコンバータというものがある。ネットワークを無線LAN経由で延長するものだ。これならば、NAS-ネットワークオーディオプレイヤー間は有線LAN接続となるので通信速度が音質に影響することはないだろう。無線LAN経由だがインターネットにも繋がっているし、無線LAN部分もかなりのスピードが出るので、インターネットラジオというやつも楽しむことができそうだ。

 価格は高いが、後で後悔しないのはこちらの方だろうか?N-50をN-30にすれば41,960円→25,000円になるのであと1万6千円ほど価格を抑えることができ、この場合、価格は5万8千円ほどになる。このくらいなら、なんとか出してもいいかな。(2014.5.17訂正)



 しかし、CDが大量に保管してある部屋で音楽を聴くために、これだけの投資をするのは少し躊躇する気持ちがあるな。

 調子の悪いCDプレイヤーが完全に壊れたときか、今のDLNA非対応のNASが故障したときに改めて考えるのが、合理的かもしれない。


2014年3月13日木曜日

深夜特急

 昨年10月の末に、アマゾンで電子書籍が安くなっていたので、10冊ばかり電子書籍を購入した中に、「深夜特急1―香港・マカオ―」が含まれていた。「三国志」や「孫子」やいろいろ読んでいるうちに年が明けて、「深夜特急1」に取り掛かったのは年が明けて随分たってからだったと思う。

 何気なく読み始めたら、なかなか面白く、一巻読み終る度に、続きを購入してしまい全6巻すべてを揃えてしまった。全てKindle版の電子書籍である。1巻から6巻まで一気に読破し、また1巻に戻って読み始めている。電子書籍は、深夜でも電車の中でも読み終えた本の続きを買うことができるから、つい次から次へと買ってしまう。Kindleの書籍は iPhone でも Nexus 7 でも読むことができるので、非常に便利である。いろいろな端末をまたいで、どれでも読みかけの本の続きが読めるのは、なかなか気持のよいものだ。

 第1巻を180円で購入し、2巻以降は確か400円程度の価格だった。どうせ買うのなら安いうちに全巻購入しておくべきだったのだけれども、深く考えずに1巻だけ購入しておいたのである。読んでみなければ、全巻そろえる価値がある作品かどうか判らないことも、1巻だけ購入した理由のひとつだ。
 そもそも、2巻目以降も180円で購入できたものかどうか、今となっては記憶が曖昧である。が、この時期にまとめて何冊も電子書籍を購入したので、多分2巻目以降も安価に購入できたのではないかと今頃思っている。

 まあ、アマゾンは商売が上手だということだろう。

 さて、この作品。

 大変すばらしく、面白い作品である。今は亡き開高健のベトナム物や釣を題材にした紀行文にせまる面白さがある。

 作者の沢木耕太郎は一応文筆家として生計を立てていたのを、その仕事を捨てて放浪の旅に出たということらしく、香港からロンドンにまで到る旅の描写はなかなか堂に入ったものである。
 文章は流麗でスラスラと頭に入ってくる。開高のような韜晦したような独特の文体ではないものの、平易で理解しやすい文章で、旅人や現地の人達との交流や作者自身の心の動きを的確に描写して、読者を知らず知らずのうちに旅に惹きこんでしまうような魅力を持っている。

 勿論、この紀行文の面白さは、文章がうまいからというだけではなく、作者の奇想天外な行動から生まれる旅先での経験から生み出されるものであることは言うまでもないだろう。

 省みれば、若かった頃の私には自分の人生を賭けてこうした旅に出るような度胸はなかった。ましてや家庭を支える立場になった今となっては、風に吹かれるようにあちらこちら旅して回るようなことは夢のまた夢である。
 精々が、数年に一度ちょっとした海外旅行に出掛けるくらいが関の山と言うものだ。

 そんな私でも、この本を読むと、海外を放浪したような気分になることができる。

 それが、こうした紀行文の価値なのだろう。

 全てを捨てて旅に出たくなってしまう可能性はあるが、そうならない自制心を持った方にはお薦めできる作品である。紀行文の傑作と言って差支えあるまい。