2012年7月12日木曜日

著作権法改正の怪(その3)

前回は著作権法改正によってDVDの映像をiPhoneに保存することができなくなることについて書いた。そして、この法改正が音楽業界の強い意向によって、刑罰化という重い修正が加えられて可決されたことも記した。


それでも、まだ怒りがおさまらないので、もう少し思うところを書きつけてみたい。


音楽業界はCD、DVDの売上を伸ばすために、法律で我々を縛ろうとする前にやることがあるのではないか。


その1:欧米諸国と比べて高額な販売価格の是正
以前、iTunesの日米格差でも書いたが、日本の音楽商品の価格は高すぎる。
輸入版のCDと全く同じ内容のものが、国内版では2倍から3倍の価格で販売されていることは、ほとんどの音楽愛好家が気付いているはずだ。そもそも、そういう値段で販売する神経が信じられないのだが、日本の消費者を馬鹿にしているのだろうか。全く同じ商品に国内販売分だけ倍の価格をつけて販売することは道義的に許されない行為だと思う。
国内販売を増やしたければ、この価格格差を解消すること。 

その2:スマートフォンをはじめとした新しい技術への対応
購入したDVDを持っていることを認証する制度を創設すべき。そして、実物のDVDを所有していることが認証できた人には、DVDプレイヤーをはじめ、パソコン、iPhone等のスマートフォン、テレビ、カーオーディオなどで好きな時に自由に試聴できる方法を開発すること。
そして、コンテンツの価格はこれまでよりも安価に設定して、「違法データのダウンロードなんか馬鹿馬鹿しくてやってられない」、と一般消費者に思わせるような環境を整備すること。
アップルの始めるiTunes Matchのような方法をこそ我が国の音楽業界が世界に先駆けて始めるべきだ。映像版iTunes Matchをである。

  その3:発想の転換
消費者の権利を制限して買わざるをえないようにさせるのではなく、利便性を提供することにより、顧客が進んで金銭を払いたくなるようにすべきこと。
例えば、アマゾンのプライムサービスや、iTunes Matchなどのようなサービスには消費者は進んで金を払うものだ。便利になる、使いやすくなる、今までになかった自由が手に入るということが判れば、それに見合った対価を支払う準備は、消費者にはできていると思う。
既に所有しているDVDの映像を持ち歩くためには別にもう一つ買え、と言われれば誰しもが反発するだろう。音楽業界は音楽愛好家を敵に回したいらしい。
音楽好きの権利を制限して金を絞り取ろうとするのは、やめにした方が良い。音楽業界はそんな政治活動に血道をあげている暇に、誰もが金を払ってでも手にいれたくなるようなサービスを考え出すことにこそ力を傾けるべきだ。

消費者あっての業界、音楽好きあってのレコード会社ではないか。顧客を愚弄する行為は、もうそろそろ終りにしてもらいたいものだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿