2012年7月15日日曜日

著作権法改正の怪(その4)


今回の著作権法の改正で、、日本の音楽業界が進めていたコンパクト・ディスク(CD)のコピー防止技術を思い出してしまった。


コピー・プロテクトのかけられたディスクはコンパクト・ディスクの規格に従っていないので、CDとは呼べない代物である。「CDもどき」とか「似非CD」とか呼ぶべきもので、意図的にエラーが記録されているために、パソコンの光学ドライブやCDプレイヤーなどを故障させる可能性のある代物であった。しかもこの「似非CD」を販売したレコード会社は、自らの利益のために消費者を混乱させたばかりではなく、この「CDもどき」を再生したオーディオ機器が故障しても責任は取らないと宣言するという、商人としてあるまじき態度に出たものであった。しかも、「CCもどき」はデータにエラーが含まれているために音質が劣化するというのが、大方の評価であった。


あまりにひどい商品であったため、この「CDもどき」は最近は下火になったが、一般にコピー防止処理の施された音楽ソフトをCCCD(Copy Control CD)と呼ぶことが多いので、ここでは以下そう呼ぶことにしよう


CCCDが失敗した理由はいろいろあると思う。以上の私のような消費者の反発を招いたことは勿論だが、直接的にはiPodやウォークマンの普及によって、パソコンへの取り込みができない商品であるということが致命的な欠陥となって、顧客から敬遠されたことが最大の理由であったのだと思う。


普通のCDの販売からCCCDでの販売に切り替えた後に、音楽ディスクの販売数が増加したという統計を寡聞にして私は知らない。結局音楽ディスクの販売額は減り続けたのであり、「不正コピー防止のため」と称して導入したCCCDがかえって販売数の減少に拍車をかける結果になったのではないかと思う。

DVDリッピングの違法化は、国民の理解を得られずに人知れず消えていったこのCCCDの轍を踏むことになると思う。


このDVDリッピング違法化は、パソコンへの取り込みができなくなるという意味において、悪名高きCCCDと何ら変りのない措置である。DVDの映像をスマートフォンにコピーすることを違法化したことにより、音楽業界はDVDの有用性を自ら落して顧客を遠ざける結果になることだろう。スマートフォンユーザーは日々増え続けている。その膨大な顧客を敵に回して、DVDの売上が伸びるとは私には考えられない。


CCCDと同じようにコピー防止処理の施されたDVDは顧客に見放されることになるだろう。私はこれからはなるべくDVDを買わずに、iTunes Storeで映像ソフトを購入することになるだろう。
できることなら日本の企業から商品を買いたいとは思うのだが、喧嘩を売ってきたのは日本の音楽業界である。不正行為を行ったわけでもないのに、喧嘩を吹っ掛けられたのだから、その相手から喜んで商品を買いたいとは私には思えない。


誰だってそう思うだろう。


しかし、一度制定された法律は容易に変えることはできない。

このままでは、DVDソフトが顧客に見放され、


「iPhone、スマートフォンで使えます」


とでかでかと書いたコピー・フリーDVDを販売せざるを得ない日が、いずれ来ることになるだろう。


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