2018年10月29日月曜日

帰ってきたヒトラー(字幕版)を視る

 Amazon Prime Videoの特典を使って「帰ってきたヒトラー(字幕版)」を視た。Amazonプライム会員になると、映画やテレビ番組など、大量の動画を追加費用なしに視聴することができるので、毎週、週末には、ほぼ欠かさずAmazon Prime Videoを利用している。

 

 今週はこの作品を視たのだが、単なるコメディーとは思えない深い含意を感じる傑作であった。続けざまに二度見てしまったほどだ。

 あのアドルフ・ヒトラーが時空を超えて現代ベルリンに現れたという設定の物語である。ヒトラー総統は、2014年のドイツでコメディアンとして受け入れられていくのだが、彼の発言には現代の政治情勢にも通用するものが多く、ヒトラーの演説を知らず知らず受け入れている自分がいることが不思議であった。ヒトラーに同調する民衆役の言葉も違和感なく描かれていて、なるほどそういうものかと納得してしまう。この作品には日本語版も存在するようだが、ヒトラー(役の俳優の演技)を存分に楽しむためにも、この作品は是非ドイツ語版(字幕版)を視るべきだ。ちなみに私はドイツ語がほとんどわからない。それでも、ヒトラー役の俳優が素晴らしい演技をしていることは、ドイツ語の台詞を聴いて理解できるような気がするからだ。ドイツ人がこの作品を見たとしたら、どんな気持ちになるのだろうか。

 この作品は、単にコメディーとして楽しんでもよい。が、政治家が真意を隠して支持を得ようとすることもあるという含意とも受け取れて、考えさせられる作品に仕上がっている。
 映画の中で、ヒトラーの残忍な一面や、ユダヤ人に対する差別意識がきちんと描かれてはいるのだが、観客としての私は、ヒトラーの語調や演説中の仕種、自信に満ちた表情に魅せられて行くのである。大衆は強い指導者に弱く、常に自らを導いてくれる存在を求めているものなのである。勿論私もその大衆の一人でしかない。いや、ドイツ人に限らず我々現代人の中にも小さなヒトラーが隠れているのかも知れない。そんなことを考えさせられる作品であった。

 これは紛れもなく傑作である。



 


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